大阪地方裁判所 昭和49年(わ)1324号 判決 1974年11月14日
一、本店所在地
大阪市東成区玉津一丁目四番二二号
商号
株式会社ヨドノ
代表者
淀野俊祐
二、本籍
大阪市東成区中道本通三丁目九七番地
住居
同市同区玉津一丁目四番二二号
職業
株式会社ヨドノ代表取締役
氏名
淀野俊祐
昭和四年一〇月三一日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官大谷晴次出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社ヨドノを罰金五〇〇万円に、被告人淀野俊祐を懲役六月に各処する。
但し、被告人淀野俊祐に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用のうち、その二分の一を被告人株式会社ヨドノの、その余を被告人淀野俊祐の各負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社ヨドノ(昭和四六年一月一九日以前は株式会社淀野軽車輪製作所と称した。)は、大阪市東成区玉津一丁目四番二二号に本店をおき、小型運搬車等の製作販売業を営むもの、被告人淀野俊祐は、同会社代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人淀野俊祐は同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一、被告人株式会社ヨドノの昭和四五年四月二一日から同四六年四月二〇日までの事業年度において、その所得金額が二八、二二一、六二二円で、これに対する法人税額が一〇、〇〇九、七〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外し、架空経費を計上して、これによつて得た資金を架空名義の定期預金にするなどの行為により、右所得金額中二四、六〇六、七五五円を秘匿したうえ、同四六年六月二一日大阪市東成区東小橋二丁目所在東成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三、六一四、八六七円で、これに対する法人税額が九九四、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税九、〇一五、二〇〇円を免れ、
第二、被告人株式会社ヨドノの同四六年四月二一日から同四七年四月二〇日までの事業年度において、その所得金額が二一、九六五、七九六円で、これに対する法人税額が七、七二〇、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中一五、一一八、二四四円を秘匿したうえ、同四七年六月二〇日前記東成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六、八四七、五五二円で、これに対する法人税額が二、一七六、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税五、五四四、三〇〇円を免れ、
第三、被告人株式会社ヨドノの同四七年四月二一日から同四八年四月二〇日までの事業年度において、その所得金額が三六、八九七、二六三円で、これに対する法人税額が一三、一九四、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中二二、〇五七、一三三円を秘匿したうえ、同四八年六月一九日前記東成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一四、八四〇、一三〇円で、これに対する法人税額が五、〇九三、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税八、一〇一、三〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一、被告人淀野俊祐の当公判廷における供述
一、同被告人の検察官に対する供述調書
一、同被告人の収税官吏に対する質問てん末書三通
一、同被告人及び淀野貞子作成の確認書
一、淀野貞子の検察官に対する供述調書ならびに収税官吏に対する昭和四八年九月二八日付、同年一〇月八日付、同年一二月六日付、同月二一日付(但し「問一、あなたは」より始まる分)同月二五日付、昭和四九年一月一一日付(二通)、同月二八日付、同年二月二五日付(二通)各質問てん末書
一、鈴木隆二、安本重徳各作成の確認書
一、収税官吏山田弘、同山野重夫各作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書
一、収税官吏小山和男作成の調査書(架空名義普通預金)
一、収税官吏小山和夫、同岩井義清作成の調査書(架空名義定期預金)
一、株式会社三和銀行今里支店作成の照会回答書
判示第一、第二の各事実につき
一、日光製罐株式会社、株式会社野畑機械設計事務所、八木紙器工業株式会社、松井商店、横路商店山下晴弘、増田鉄工株式会社北野建材工業所北野勝高、トヨクラ商会、堀井機工商会、株式会社サカイライト製作所各作成の各照会回答書
一、収税官吏山田弘作成の調査書(売掛金、受取手形関係)
判示第一の事実につき
一、東成税務署長作成の証明書(但し昭和四六年六月二一日申告した法人税申告書写に関する分)
一、湯川製作所湯川治、大福機工商会、岩井商店岩井秀貢、株式会社住田特殊印刷、井阪工機株式会社、株式会社タカオカ、昌栄印刷株式会社、金剛製作所斉藤起代和、株式会社勝栄堂各作成の各照会回答書
一、佐藤松男の収税官吏に対する質問てん末書
一、佐藤松男、土田哲朗、鈴木克宗、大一商会北浦正美各作成の各確認書
一、収税官吏小山和男作成の調査書(淀野俊祐個人の収支および財産調)
判示第一、第三の各事実につき
一、小畑太亮の収税官吏に対する質問てん末書
判示第二の事実につき
一、東成税務署長作成の証明書(但し昭和四七年六月二〇日申告した法人税申告書写に関する分)
判示第二、第三の各事実につき
一、株式会社ダイヤ、村上工業株式会社各作成の各照会回答書
一、成田弘作成の確認書二通ならびに株式会社光製作所作成の確認書
判示第三の事実につき
一、東成税務署長作成の証明書(但し昭和四八年六月一九日申告した法人税申告書写に関する分)
一、淀野貞子の収税官吏に対する昭和四八年一二月二一日付質問てん末書(但し「本職は(株)ヨドノにおいて」より始まる分)
一、穴口勤(二通)、不双建設中西孝夫各作成の各確認書
一、東光グラビア印刷株式会社作成の照会回答書
一、収税官吏水野良博作成の調査報告書
(法令の適用)
被告人らの判示各所為は、いずれも法人税法一五九条、七四条一項二号(法人である被告会社の処罰につき、なお一六四条一項)に各該当するところ、被告会社に対しては以上の罪は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内において被告人株式会社ヨドノを罰金五〇〇万円に処し、被告人淀野俊祐に対しては所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上の罪は同法四五条前段、四七条、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役六月に処し、諸般の情状に鑑み同法二五条一項一号を適用してこの裁判確定の日から二年間同被告人に対する右刑の執行を猶予し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文に則りその二分の一を被告人株式会社ヨドノのその余を被告人淀野俊祐の各負担とする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 橋本達彦)
右は謄本である。
昭和四九年一一月二二日
大阪地方裁判所第一二刑事部三係
裁判所書記官 田村剛